有用性と有意味性

何のために働くのだろうか

私たちは何のために働いているのだろうか。

基本的な生活のために収入を得るために働くのはもちろんだが、それ以外の理由も当然ある。

長田英知著ワーケーションの教科書では、哲学者ハンナ・アーレントが提唱した有用性有意味性に触れて以下のように述べている。

有用性は自分が勤める会社や所属する組織が享受する価値であり、有意味性は社員自身が内面で享受する価値と言うことができます。

アーレントは有用性と有意味性を区別すべき概念として捉えていましたが、実際には両者は深い相関関係にあると考えられます。つまり、私たちは働くことの有意味性を感じられない時、十分な有用性を社会にもたらすことができないのです。

 

働き手は自分の仕事にやりがいや自分の人生に対する影響があるかという「有意味性」を見出せないと、業績として企業や社会に対する貢献である「有用性」も十分に発揮できない。つまり、労働者としての成果も出せない状態になると言うことだ。

現代日本では経済の停滞もあって有用性ばかりに重きを置かれており、有意味性がないがしろにされていると考えられる。リモートワークは時間と空間に融通が効きやすくなるため、ワーケーションやリカレント(場合によってはリスキリング)、副業などへ条件を整えやすくなると考えられる。

 

有意味性を考えると生産性も上がる

その結果、有用性と有意味性のバランスを取ることが可能になり、仕事に対する満足度の向上や仕事そのものへの向き合い方にも良い変化をもたらす効果があると期待される。

言い換えると、生産性向上に寄与すると考えられる。

そして、なにより有意味性は受動的に得られるものでもないので、私たちが能動的に見出す意識やそのための活動が必要となる。

生産性向上における柔軟性の重要性でも述べたが、自分たちで工夫すれば会社や世の中が変えられると言う意識を持つことによって生産性の向上につながっていくことがわかっている。

本書は社会的な背景や研究結果を元にワーケーションの効用に関して示唆に富んだ内容となっており、大変参考になる一冊である。そのほかのテーマにも関連する内容が多く含まれているので別機会でも触れる予定を設けたいと考えている。

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