オーバーツーリズム

2019年の訪日外客数は3188万人(日本政府観光局プレスリリースより)で、2023年の10月の訪日外客数は2019年の同月を上回ったようなので、2024年はおそらく2019年の訪日外客数を超えることになると想定される。

2019年の京都府観光入込客調査報告書によると8791万人となっており、宿泊客が1507万人でそのうち外国人観光客は390万人で25.9%を占める計算になる。

観光庁が出している2030年のインバウンドの目標は6000万人なので、目標を達成した場合、単純計算で800万人近くが京都に来訪する計算になる。

さて、オーバーツーリズムであるがJTB総合研究所の定義では次のようになっている。

特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が、地域住民の生活や自然環境、景観等に対して受忍限度を超える負の影響をもたらしたり、観光客の満足度を著しく低下させるような状況。

世界の観光地で、観光客の増加による交通機関の混雑や交通渋滞、ゴミや騒音など生活環境の悪化が住民の反発を招いたり、自然環境保護のため人気の高いビーチが閉鎖されるなどの状況が発生している。オーバーツーリズムであるかどうかは、観光客の増加を地域がどのように認識するかに左右され、観光客増加による社会課題が発生している地域でも、住民の大半が観光のメリットを認識し、一層の成長を望んでいるケースも少なくない。

日本では観光庁が2018年6月に「増加する観光客のニーズと観光地の地域住民の生活環境の調和を図り、両者の共存・共生に関する対応策のあり方を総合的に検討・推進する」ことを目的に「持続可能な観光推進本部」を設置した。

https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/over-tourism/

単純に観光客の数のキャパシティに依存する問題ではなく、習慣の違いなどにより引き起こされ、その結果観光客自体の満足度も下げてしまうことも危惧されている。

日本人の平均旅行回数は2019年度で3回(うち宿泊旅行1.4回)、ひとり当たり宿泊日数は2.3日となっている。

2-3泊の予定で訪問できる場所はおのずと限られて来るため、京都のような有名な観光地に集中する要因にもなっているのではないだろうか。

ワーケーションの実現により、仮に1週間国内旅行に費やせるなら旅行先候補地の選択肢も広がり、まずは日本人の観光客を分散できるのではないだろうか。こういった観点からもリモートワークを基盤としたワーケーションの普及を進めたいと考えている。

長期的には、分散された訪問地域は日本人観光客によって新たな掘り起こしがなされ、インバウンドの訪問地域の分散にもつながるのではないだろうか。

オーバーツーリズムに対しての観光客の分散で実現される量的な対策は、観光客へ提供できる質を高めることにも影響を与えると筆者は考えている。

2019年の訪日観光消費単価の全体平均は、約15.8万円となっており、観光庁はこれを2030年にはひとり当たり25万円まで上げることも目標としており、観光業そのものの生産性を上げることを意味している。

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