硬直したシステムが生産性を下げ、離職率を上げる
リモートワークは自主性や主体性を必要とするワークスタイルであるが、一方で柔軟性を持たせることができる。
マシュー・サイド著「多様性の科学」によると、労働経済学者のマイケル・ハウスマンが従業員の生産性や離職率の違いを分ける要因を探り、コールセンター(カスタマーサポート)従業員に関する研究の中でひとつの発見をしたことが記されている。
対象の従業員はみな採用の過程で45分間のオンライン査定を受けており、その査定の全要素を分析をして、従業員のパフォーマンスの質や離職率のヒントを探ったが、何も発見できなかった。
ハウスマンのチームは、過去に転職回数の多い従業員がすぐに離職するのではないかと考えたが、転職回数と離職率に相関関係は見られなかった。また、オンライン査定での性格や個性の関係からも答えは出なかった。
発見は、オンライン査定のブラウザ情報にあった。FirefoxとChromeを使った入力者はSafariやInternet Explorerを使ったものより勤続期間や欠勤日数に優位な差があり、生産性や、売上業績、顧客満足度も全て高く顧客への対応時間も短いと分かった。
Firefox、ChromeとSafari、Internet Explorerの重要な違いは後者がはじめからインストールされているブラウザであり、前者は積極的に選択してインストールしなければならない。
これらが意味することは、ブラウザそのものではなく、選択をした従業員の心理傾向の違いの重要性であり、常に何かもっといい方法がないかを模索していることの表れでもある。また、生産性で満たされており、現状に甘んじることなく、柔軟に問題を解決していく力がある。
マニュアルの枠から出ようとしない人は、能動的に行動を起こさないためにうまくいかないことが重なり、不満が募って離職にいたると著者は述べている。
運用の可視化がポイント
リモートワークには自主性や自律が高くなければうまくいかないと考える企業が多く、実際にそうであろうと筆者も考えている。
一方、前述のコールセンターの実験のように現状に甘んじることなく、柔軟に問題を解決していく力がある人にとっては働き方のスタイルをはじめとして、柔軟性を考慮した環境を用意することによって大きな生産性の向上を期待できるのではないか。
基本的にはタスク管理にポイントに置いてツールで実現することにより、メンバーシップ型でもジョブ型に近い形に運用が可能になると考えている。
デジタル化された社会は利便性が高くなっていくが、一方で主にセキュリティの観点から配慮しなければならないことも多い。
そこで、運用をある程度可視化することにより、利便性を損なうことなく運用でセキュリティリスクに対応すれば柔軟性を維持できると筆者は考える。
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