内閣府が出している、『地域の経済2020-2021-地方への新たな人の流れの創出に向けて-』には地方に住みながら東京の会社にリモートワークで勤務することで活性化することで推進していくこと趣旨とした内容が多く記載されている。
筆者も総論賛成なのだが、そのプロセスにおいては多拠点生活から始まり、以下の順番で移行するのが現実的と考えている。
- リモートワークによる多拠点生活
- 地方居住者による東京など都市圏の会社へのリモートワーク
- 都市圏から地方へのリモートワークを利用した移住
- 企業の都市圏から本社機能の地方移転
リモートワークによる多拠点生活
現状で、給与面など待遇の良い企業でリモートワークができる状態であったとしても、完全に地方へ移住してしまっていたら何らかの事情で転職をする際に同じ環境下で仕事ができる会社を探すのはけっこう大変なことだろう。
また、生産性低下の懸念から会社のルールが出社の比率を多くした場合などの変化に対応することも難しいため、1拠点の場合は通勤圏内に住まざるを得ない。
そこで、ある程度の経済的余裕があれば2拠点生活にするという選択肢が考えられる。
コワーキングスペースが併設されているシェアハウスやゲストハウスのような形態が増えれば費用も抑えられる。
2拠点のうちどちらに重点を置くかは自由であるが、片方にはあまり費用をかけることができないので、東京と地方であれば東京を最低限の生活ができる環境にして安く抑える方がトータルで豊かな生活が実現できるだろう。
地方居住者による東京など都市圏の会社へのリモートワーク
リモートワークが可能になる条件を整えた企業が増えてくればまず、地方在住者による東京の会社などへのリモート勤務が増えるだろう。
東京の中でそこまで待遇が良くなくても、地方と比較すれば相対的に条件の良い企業が多くなるため、実現はしやすいだろう。
また、この段階には都市圏から地方の企業へのリモートワークも含まれる。
都市圏から地方へのリモートワークを利用した移住
2.の実現が広く普及すれば、運用方法のルール確立やインフラなどの社会実装も充実した状態になるため、都市圏から地方に移住した場合の不都合を減らすことが可能になる。そのため、2拠点のようなリスクヘッジをする必要もなくなっていくだろう。
企業の都市圏から本社機能の地方移転
最終的には、企業の本社機能を地方に移すことも可能になる。従業員がどこにいても、働ける状態であれば、本社がどこにあっても本質的には問題がないからである。そして、東京などの大都市のオフィスも支店の扱いでも問題はない。
当面の地方活性はワーケーション、多拠点生活が有効と考える
すでに述べた理由で、いきなり都市圏から移住をするというのはハードルが高いこともあり、地方で人の移動を伴った活性化をさせるためには、リモートワークを活用したワーケーションの実施、多拠点生活とインバウンドの誘致が最も現実的と筆者は考えている。
そのため、自治体など各地域では、ワーケーションや多拠点生活が行いやすい環境やインフラ整備を進めていくのが良いのではないだろうか。
環境やインフラ整備の具体的な内容はあらためてテーマを設ける。