成功の再現はロジックがなければ難しい
ビジネスの場をはじめ、スポーツなどケースで指導者が自らの成功体験を元にした戦略やルール形成が図られることは珍しくない。
有名な大手企業から期待されて中途入社してきたマネージャーが前職のやり方を当てはめようとして結果を残せないということは日常茶飯事である。
筆者も何社か経験した中で、同様の場面に遭遇したことが多々ある。
特にスタートアップやベンチャー成長期において、外資系企業のカントリーマネージャー経験者や大手有名企業出身者のディレクションの元での戦略の失敗はいまだに遭遇する。
筆者の視点で考察したことの例をいくつか挙げると
- 具体的なプロダクトやサービスの特性を考えず、前職のフォーマットに無理やりはめようとする
- とりあえず人脈で押し込もうとする
- リードや案件などの数が多ければいいと考える
これらは一例ではあるが、共通するのは販売戦略や手法にロジックが欠けているということである。
彼らが仮に前職で卓越した実績を残していたのであれば、「なぜ」実績が残せていたかが自分なりに理解できているのだろうか。
重要なのはプロダクトやサービスの特性を元にロジックを組み立て、仮説検証を繰り返して成功してきた経験であって、既に売れているプロダクトやサービスを会社の看板で売った経験ではない。
仮にロジックを元にした戦略であっても、必ず成功するわけではないので、いかに限られた時間を含めたリソースの中で仮説検証を繰りかえして成功に導くかというところに難しさがある。
具体的なプロダクトやサービスの特性を考えず、前職のフォーマットに無理やりはめようとする
意外に軽視されがちなのは、プロダクトやサービスの特性を考慮することである。
以前の職場でのやり方に固執して、販売金額に合わない営業工数のかけ方をするケースもよく見られる。目標達成のための工数が膨れ上がって生産性を下げたり、プレーヤーが疲弊してしまうこともよく見られる。
また、有名な企業の方法論を形式だけ真似ることもよくあるが、これも自社のプロダクトやサービスの特性を勘案してロジカル仮説を立てて実行しないと全く機能しない。
とりあえず人脈で押し込もうとする
あるいは、採用の際に経営者は期待をしているのかも知れないが、過去の人脈に過度な期待は、そもそも属人的なやり方なので再現性がない上にすぐに枯渇してしまう。
場合によって、他社からの顧客情報を持ち出すなどのコンプライアンス違反の可能性もあるためリスクをともなう。実際筆者も20年近く前は外資系の転職面談で持ちかけられたことがある。日本では場合により不正競争防止法違反になりかねない。
リードや案件などの数が多ければいいと考える
リードや案件の数は多ければよいというわけではない、当然受注率が高くなければ、ムダに案件に工数を掛けてしまうことになる。これも生産性を下げる要因である。
ロジックに基づいた成功も常に再現性があるわけではないのだが、ロジックのない成功には再現性がない。
一方、失敗の再現性は高いため、レビューをして要因をつかむことで、失敗の再現性を低下させることも必要である。