多くの会社員が管理職になりたくないのはなぜか
管理職に昇進したいと思わない人が61.1%で昇進したい人の38.9%を大きく上回っているという厚生労働省の調査結果がある。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1.pdf
主な理由は「責任が重くなる」が71.3%と最も多く、「業務が増え、長時間労になる」65.8%と続いている。
また、「管理職が感じる職場の環境の変化や管理職の悩みについて」の調査もあり、その中で「挙げられていることが多い項目」は
- 目標のハードルが高すぎる
- 部下が自分の指示通りに動かない
- 求められる成果が出せていない
となっており、通常のトップダウン型のマネジメントに求められるであろう内容そのものが悩みの対象となっているようだ。
環境の変化や世の中のニーズのスピードに対応するためには、多くの情報を処理しなければならなくなる。
それを管理職だけで判断や決断していくには必要な情報のインプットの量も時代が進むにつれて増えていくことになる。
求められる結果を出すために必要な知識や労力も相対的に増えていくことになり、その結果、トップダウン型の管理職になることを望まなくなっているのではないだろうか。
ピーターの法則
ピーターの法則とは、能力主義の階級社会において、誰しもが有能さを発揮できていた地位から、無能ぶりを露呈することになる限界の地位まで昇進させられることにより、組織全体に無能な人間があふれてしまう法則のことを指す。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのWEBサイトより引用 https://www.murc.jp/library/terms/ha/the-peter-principle/
逆説的な法則ではあるが、能力を発揮できていた地位から昇進により能力の発揮できなくなるところで収まってしまうということなので、管理職になりたがらないのは直感的にもそれを認識し始めているのかも知れない。
ここで前提とされている管理職は主に上司が部下に指示を出して言う通りに動いているかを管理する通常のトップダウン型のマネージメントである。
サーバントリーダーシップ
サーバントリーダーシップ(Servant leadership)は通常のトップダウン型とは異なるマネージメントのスタイルだ。
ロバート・K・グリーンリーフが提唱したリーダー像で、上司はあくまでも部下をサポートする立場をとる。
会社の方向性を示しつつ、決定権を部下に譲り、自主性を育む環境を用意することがメインの役割となる。
認知多様性を重視する際や自主性の高い人材を有効に活用することが可能になり、ビジネス環境の変化のスピードに沿った生産性の高い組織の実現に貢献できるであろう。
また、自主性が重要となるリモートワークと親和性の高いマネジメントスタイルでもあると筆者は考える。