雇用目的仕事をしている限り生産性に差はない
企業がリモートワークに対する懸念点で生産性が落ちるからという一大テーマがある。
これは、本来の生産性の概念と結びつくアウトプットそのものが低下すると言うことなのだろうか。
筆者は別の見解を持っている。
酒井隆史著「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」の中に
「雇用目的仕事」と表現される言葉がある。
労働形態においてタスク指向が時間指向に変化することが、「たとえするべきことがなくても、ある種の人間たちはいつも働いていなければならないという発想、そのような人間たちの時間は仕事をでっちあげてでも埋めなければならないという発想」の条件です。仕事のための仕事、つまり、だれかを働かせるために「でっちあげられる」仕事、やがて BSJというかたちをとるこうした仕事を、より一般的に「 make-work」といいます。わたしたちはここでは「雇用目的仕事」という日本語をあてています。
労働者は時間で雇われているのだから、雇用主である企業経営者からみると「お前の時間はオレのもの」と言う発想が生まれる。
そのため、やることがないからといってぶらぶらしていることが許されず、
仕事のための仕事=雇用目的仕事が生まれるわけである。
働いている場所が会社だろうが自宅だろうが雇用目的仕事になっていれば生産性に大きな差はない。
ブルシットジョブは
デイヴィッド・グレーバーによって提唱された概念で、役に立たない、意味のない、無駄な仕事を指す。ブルシットジョブに従事する人々は、時間の大部分を仕事に費やしているにもかかわらず、その仕事が社会に貢献しているとは感じられない場合がある。そして、一般的に給与が高い。
もっと複雑なニュアンスや問題を含んでいる概念なので興味のある方は書籍に直接触れていただきたい。
雇用目的仕事は有意味性が欠如するため、有用性と有意味性でも触れたように、モチベーションが低下することによる生産性にも影響が出る。
時間指向からタスク指向へ
酒井隆史著「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」では時間指向とタスク指向という対立概念が出てくる
雇用目的仕事は時間指向と結びつくため、タスク指向が雇用目的仕事を減らすポイントになると筆者は考える。
タスク管理ツールなどを利用することで、時間ではなくタスク指向での運用が可能になるだろう。
冒頭のリモートワークの件に関しても、タスク指向で運用をすれば生産性を落とすことにはならないと考えられる。減ったのは雇用目的仕事だからだ。
仮にメンバーシップ型の企業であっても、タスク指向にすることでジョブ型に近い運用ができるのではないかと考えている。
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