組織におけるコミュニケーションコスト問題

オペレーティングモデルの簡素化

 

以前紹介した「TIME TALENT ENERGY」という生産性に関する書籍の中で、TIMEに関連する要素の中にオペレーティングモデルの簡素化という考え方がある。

生産性にとって時間は重要なパラメーターであるため、時間に関連する要素を検討する必要があり、組織の時間をマネジメントするためにはオペレーティングモデルの簡素化が必要であるということを著者は主張している。

オペレーティングモデルには以下の要素がある。

  • それぞれの事業の形態・規模
  • 事業ライン間の境界線
  • 事業ライン間の境界にまたがる部分での協業の仕方
  • コーポレートセンター(本社機能)の役割(各事業部に対してどのような価値を出すか)
  • 企業が求める行動規範

その結果として、組織にどういった人材が何人必要か、スパン(ひとりが管理できる人数)と階層の面からどういう組織の形になるかが導き出されるとされ、選んだモデルにより組織も決まる。

 

そのため、このオペレーティングモデルを考慮しなければ、組織の時間をコントロールすることもできないということになる。

オペレーティングモデルを考慮して簡素化することは、生産性を考える上で非常に重要なことであり、要素も多岐にわたる。

何回かに分けて各々の要素を細かく説明しようと考えているので、今回は「TIME TALENT ENERGY」に記載されているオペレーティングモデルの簡素化に関連する対処法の項目をお伝えして、今回のタイトルのコミュニケーションコストの考え方に移りたい。

  1. 組織をシンプルに
  2. ノードをゼロベースで見直す
  3. 付加価値を生まなくなったノードは廃止する
  4. ノード間のやり取りの回数を最小限に抑える
  5. 単なるフラット化ではなくピラミッド構造の圧縮を

                          出典「TIME TALENT ENERGY」マイケル・マンキンス/エリック・ガートン著

 

コミュニケーションコスト

 

組織において、何かを決めたりタスクをこなすプロセスにおいて必要なコミュニケーションにかかる時間や労力をコミュニケーションコストと呼んでいる。

コミュニケーションコストは単純に組織の構造だけで決まるものでははいので、単純化することはできない。コミュニケーションコストに関しても改めて取り上げるべき価値のあるテーマである。

また、可視化するとしても、オペレーションモデルを考慮した上で効果を発揮する概念である。

以前ノードという概念の中でも触れたテーマで

企業が大きくなれば、製品ラインや事業部が増えることは避けられない。新たな販路や地域、顧客セグメントに手を広げるようになる。買収や合併もある。こうした1つひとつの動きが組織の新たな要素を生み出し、新たな要素が追加されれば、他の要素との交わりや相互作用が生じる。この要素と要素が交差する部分をノード(結節点、結び目)と呼ぶが、ほとんどの企業ではこのノードこそが複雑化の根本原因なのだ。

ノードという概念

 

これをできるだけ具体的な数値として表現できるように以下にアプリケーションを作成した。

各組織の構成員をノードと捉え、ノード間のコミュニケーションをエッジとし、各々のノードまでの最短距離をダイクストラ法により割り出した数値です。(親子関係や同じ階層での設定をしていますが、細かい説明はここでは省いています。)

ここにベータ版があります

 

ノード この場合組織の構成員を示す

title       識別するための名前を記入

wight    役職などでコミュニケーションを取る際の重みづけを設定

parent node  ノード間の親子関係を設定

coefficient   組織を超えてのコミュニケーションの重みづけを設定

 

 

以下のような組織図が表示される

 

 

各々のノードからそれ以外のノードに対してどれくらいのエッジコストが必要かをブレイクダウンの表示

 

 

エッジコストの合計の高い順にノードを表示

 

ここで表示されるノードコストの数値は組織構成による理論上のコミュニケーションにかかる負荷の大きさと表現した方が近い。

この可視化により、実際のコミュニケーションの指標と関連付けることで具体的に活用ができるようになる。

オペレーティングモデルに関連する項目が最も効果が発揮できると思われるため、そこに着目してあらためてテーマにして記載する。

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