組織構成の見直しだけでは生産性は向上しない
筆者は数ある生産性向上を目的とした書籍の中で「TIME TALENT ENERGY」を大変気に入っており、非常に腹落ちする指摘が多いと考えている。この書籍に述べられている趣旨から多くのテーマを作成していく。
以前コミュニケーションコストに関するテーマを作成したが、その中でオペレーティングモデルに簡単に触れた。ただし、オペレーティングモデルそのものはひとつのテーマでは収まらないので複数のテーマを横断して全体で説明する方法をとることにしたい。
コミュニケーションコストに関連する要素として、組織構成による各構成員にかかる負担の可視化をするためのツールを紹介したのだが、当然目安でしかない。
具体的には、組織内の管理階層数と各マネージャーの管理スパン(ひとりで管理できる部下の人数)を調整するだけでは解決しないということである。
ただし、不要な管理職は仕事を増やす傾向にあるために、組織の生産性を落とすという考え方があるため、この観点自体は重要である。
不必要なノードと不必要な作業を排除すること
生産性を上げるには、不必要なノードとともに不必要な作業を減らすことによって実現できるのである。そして、不必要なノードと不必要な作業は企業のオペレーティングモデルと照らし合わせることによって可能となるのである。
前提として、オペレーティングモデルには以下の要素がある
- それぞれの事業の形態・規模
- 事業ライン間の境界線
- 事業ライン間の境界にまたがる部分での協業の仕方
- コーポレートセンター(本社機能)の役割(各事業部に対してどのような価値を出すか)
- 企業が求める行動規範
出典「TIME TALENT ENERGY」マイケル・マンキンス/エリック・ガートン著
組織にどう言った人材が何人必要である他、スパンと階層の面からどういう組織のかたちになるかが導き出される。そして、選んだモデルによって、組織も決まる。
オペレーティングモデルは戦略と実践を関連づけるものであり、経営資源をどのように活用するかを決めるものでもある。
「TIME TALENT ENERGY」ではオペレーティングモデルをもとに、組織構造の変更に関して実行べきポイントは以下であると指摘している。
これらの要素に関する具体的な内容はあらためてテーマを設けて説明する。
- 組織をシンプルに
- ノードをゼロベースで見直す
- 付加価値を生まなくなったノードは廃止する
- ノード間のやり取りの回数を最小限に抑える
- 単なるフラット化ではなくピラミッド構造の圧縮を
コミュニケーションコストの観点から生産性を高めるためには、オペレーションモデルを鑑みて組織構成を見直すことが重要ということが言える。
組織構成そのものが持つコミュニケーションのハードルの数値化は以下のアプリケーションである程度の目安にできると考える。