輸出をする企業は輸出をしない企業より生産性が高い

デービッド・アトキンソン著「日本人の勝算_人口減少×高齢化×資本主義」によると

「輸出をする企業は輸出をしない企業より生産性が高い」と述べられている。

著作の中で

生産性と輸出には強い相関関係があることが確認されています。(中略)

しかし、アメリカの分析では、輸出をすることによって生産性が向上するのではなく、すでに生産性の高い企業が輸出をすると結論づけています。

ただ、輸出をすることによって生産性が高まると言う仮説は否定されており、輸出すること自体が生産性の高さの重要な要因ではなく、輸出をしたいと言う意志の方が重要であり、生産性の高さの秘訣のようであるとも述べられている。

 

インバウンドを増やす戦略が海外のお金を取り込む輸出と意味であるなら、輸出をしたいという意志と同様に、インバウンドを増やしたいと言う意志が生産性を高める秘訣でもあるのではないだろうか。

どのようなインバウンドが具体的に生産性を高めることに貢献するかはあらためてテーマを設けたいと考えているが、この30年間で海外と比較して相対的に物価が下がった日本においてはインバウンド消費は有効な生産性向上要因になると考えられる。

すでに東京や京都など海外からの知名度の高い都市は大した工夫をしなくてもオーバーツーリズムを起こすほどインバウンドであふれている。

しかし、多くの地域は海外からの観光客からその存在を知られていない。そして、インバウンド用の宿泊施設や交通機関などインフラも観光客を迎えるための用意が十分とは言えない。

2030年に6000万人のインバウンドを目標としているので、2023年の2倍となるため地方の地域にも呼び込める余地は十分に残されている。

インバウンドを増やしたいと言う意志が生産性を高めることが事実であれば、地域の生産性をあげられるかも知れない。そうなれば、その地域の所得水準もあげられるだろう。

神宮の森はどうやってできたかのテーマで以下のように述べたが、

筆者はインバウンド誘致や地方創生に関しても成功させるためには、神宮の森の計画に通じる設計思想やプロセスが必要だと考えている。

地域の特性に合ったことを設計思想の中心にして、それを実現するための段階的に具体的なプロセスを経ることとは重要なことと考えている。

例えば、現在観光客が少ない地域にいきなりインバウンドの誘致をすることは現実的でなく、まずは国内のひとに訪問してもらえるようにすることをプロセスとることも有効な手段ではないかと考える。

そのためワーケーションの活用により国内の訪問客を増やし、インバウンドにも対応できるインフラ整備を整えて、満を持して迎えるという方法もあるのではないだろうか。

最終的にインバウンドを増やしたいと言う意志のもと、日本人ワーケーションを増やすことを当面のKPIとすることも有効な方法と筆者は考えている。